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本当にあった!ちょっと怖い話
 The Crooked Manのおまけで言っていた製作動機について少し。
 実際の体験が元になったと書きましたが、実は私自身の体験ではありません。私の兄の体験です。

 兄は外見はDQNですが、実は臆病で人に影響されやすい人間です。そして人当たりが良く根が優しいため、周囲の人にはかなり好かれています。妹である私は完全にパシられてますが!( ゚д゚)
 で、そんな兄は旅行が大好き。大学では旅行サークルを作って、車で友達と共に東西南北色々な場所へ行っていました。そんな兄の旅行がきっかけとなって、ある不思議な出来事が起こります。


 兄はいつものように、男女数人の仲間と共に東北のある地方へと車で旅行に出かけました。
 予約していた民宿へとチェックインし、夕飯をとった後はお酒を飲みながら楽しく過ごしていました。(兄は運転手なので飲みませんが) ところが、飲み会の途中で1人の女の子がふと、遠慮がちに「ここ出るみたい」と言い出したそうです。
 その子は常日頃から「見える」と公言していたそうで、それが本当かどうか真偽は定かではありませんが――、何だかその子が本当に怖がっているように、兄には感じられたそうです。
 ちなみに兄は怖がりのくせにオカルトなものに興味津々で、「本当にあった!呪◯のビデオ」はシリーズ全て制覇しており(一人で観るのは怖いので必ず私を付き合わせる)、自ら車を走らせて友人と心霊スポットへと赴くような奴です。あほです。
 何だか嫌な感じはしたものの、それは兄とその女の子だけだったらしく、翌日も早いからということで飲み会は散会となりました。

 各々布団の中へと入り、しばらく経った頃。兄は長い時間運転していたこともあり、すぐに眠気に襲われ、うつらうつらしていたそうです。意識が眠りに落ち込む寸前、それは起こりました。

 何か、冷たい手のようなものが布団の中で兄の足首を掴んだのです。
 兄は驚き、わあっと声を上げて飛び起きました。周囲で寝ていた男友達まで起きたほどだったのですから、相当でかい声で叫んだのでしょう。
 どうした何があったと問われた兄は、正直に足を掴まれた!!と答えたそうなのですが、酔っ払い乙wwwと相手にしてもらえなかったそうです。酒飲んでないのに。
 釈然とせず、また恐怖感に苛まれながらも、兄は何とか眠りにつきました。
 翌日から、不吉なことばかりが兄を襲うようになったのです。

 まず旅行の帰り道に、目の前で車三台が玉突きしました。寸でのところでブレーキを踏んだのでこつんと前の車に軽く当たるだけだ済んだそうなのですが、一瞬でも遅れていたら兄は窓ガラスに突っ込んで大怪我していただろう、とのことです。
 そして他にも。
 兄は、三回も自殺現場に居合わせました。飛び降りや電車への飛び込みを目撃してしまったのです。地面に倒れた人の脳みそが散っているのを見てしまった、と、兄はかなり参っているようでした。
 そして、かつて兄を悩ませていた蕁麻疹が再発。中学生の頃に部活や勉強のストレスで蕁麻疹が出てしまい苦しんでいたのですが、それが今更になってまた出てきたのです。以前のようにストレスが原因なのだろうか、でも今は特に悩みもないのになあと、兄は不思議そうでした。
 私は内心、どっかで変なもの(オカルト的な意味で)でもくっつけてきたせいで見えないものからプレッシャーでもかけられてんじゃないかと思っていましたが、黙っていました。いつも兄には迫害されているので、メシウマwwwとしか思っておりませんでした。

 そんな時、兄に決定的な致命傷を与える出来事が起きたのです。
 東日本が大きく揺れたあの日、兄の留年が決定しました。一単位たらず。
 かなりショックだったらしく、担当教諭に何度も直訴したらしいのですが、取りつく島もなく、また追試もしないからどうにもならんよと突き放されたそうです。私は、ここでようやく、あ、兄かわいそうだわと思うようになりました。それはおかんも同じだったらしく、彼女はあるアドバイスを兄にもたらしました。

 J( 'ー`)し <あんた最近嫌なことばっかりあるから、Tさんに相談してみたら?

 Tさんについて、説明します。……こんな風に呼んでしまうとネタとしてとられてしまうかも知れませんが、その名前がしっくりくるのでこれで。実際にはTではないんですけどね。Tさんは住職の息子さんで、兄とは幼稚園の頃からの友達です。タッパが良く、温和な性格で、色々な人に頼られる存在でした。 兄もまたTさんに絶大な信頼を置いており、何か嫌なことや不安に思うことがあると必ず相談しにいっていました。
 Tさん曰く兄は元々「憑かれやすい」人間で、たまに何かくっつけていることがあると。大体軽いもので、Tさんが何かするまでもなくいなくなってしまうのですが、くっつけてる間に嫌なことがあったり、無性に不安になったりするのだということでした。
 とにかく、どんなくだらない悩みでも親身になって聞いてくれる、まさに仏のような人がTさんでした。ちなみにTさん曰く妹(私)は稀に見る幸運の持ち主で特に苦労することもなく幸せに生きていくだろうねとのことです。何だかなあ。

 兄はおかんのアドバイス通り、Tさんに事情を打ち明けることにしました。まずはアポをとろうと(その頃Tさんは既に、病床につかれたご住職の代わりに仏事に奔走していらっしゃいました)、携帯を手に取りました。
 私もちょうどその場に居合わせていたのですが、電話はほんの数秒で終わってしまいました。どうしたの?と尋ねると、兄は不安気な面持ちで、まだ事情も何も話してないのにすぐに寺まで来いと言われたと言いました。なんかT怒ってるかも……とか馬鹿なことを抜かしていましたが、そうじゃなくてお前が相当ヤバイ状況なんだろさっさと寺行けやと、追い出しました。夜の10時過ぎのことです。

 2時頃になって、兄は帰ってきました。やたら興奮した様子なので事情を聞いてみると、こんなところでした。

 寺に着いた兄を出迎えたのは、いつものラフな格好とはほど遠い勝負服(袈裟)をまとったTさんだったそうです。とにかく上がれと言われ、兄は何も説明されないまま本堂の広間のような所へと連れていかれました。広い畳の中央に座らされ、一体何事かと困惑している兄をよそに、Tさんは何やら儀式めいたものを始めました。絵の描かれた紙のようなものを振りまきながら、兄の周りをぐるぐると回って、お経のようなものを唱えていたそうです。こいつ何やってんだと兄は呆気にとられていたそうなのですが、しばらくして異変が起こり始めました。

 急に、悲しくなったそうです。泣きたくてたまらなくなったそうです。
 混乱する頭のまま、涙が零れないようにじっと目をとじて我慢していたと、兄は語りました。

 どれくらいの時間が経ったかは分かりませんが、気づくとTさんが兄の前に座っており、大丈夫?と声をかけてきてくれたそうです。
 呆然としたままの兄にTさんは、お前、東北のOOに行ってきたんだねと言いました。そこへ旅行へ行ってきたことなどTは知らないはずなのにと兄は驚き、一体何がどうなっているのかと問い質しました。
 以下は、Tさんが語ったことです。

 お前の声を電話で聞いた時、お前がまた何かをくっつけていることを悟った。しかも今までのとは違い、明らかにお前に執着していて離れそうもないものをくっつけている。だから祓ってやろうと思って寺に呼んだ。
 でも、実際お前を前にしてみたら、俺なんかじゃ祓えそうもないくらい強い思念の塊だった。だから一応祓いは試してみたけど、半分しか落ちてないね。
 お前についているのは、お前が旅行で行った先のOOで死んだ女の子だ。そんなに昔の子じゃない。識字率が民間でも高まってきた頃の人だ。でもその子は字が読めなかった。学校にも行けなくて、同年代の子とは中々一緒に過ごせない境遇にあった子だ。同じ年の子たちと楽しく過ごしたかったんだろうね。でも、それが叶わないままに死んでしまった。
 その子は埋められたけど、まだ生きていたんだよ。悲しい、恨めしい、何で自分だけがこんな目にと思いながら土の中で死んでいったんだね。恨みの気持ちが、その場所に残ってしまったんだろうね。お前が友達と一緒に旅行に来たのを見て、自分も混ざりたいと思ったんだよ。生きていた頃は、それができなかったから。中でもお前が一番優しそうで、自分に同情してくれそうだからと思って、お前についたんだ。
 その子はお前に悪いことをしようとしている訳ではないけれど、お前の共感を利用してお前を自分の側へ引きずり込もうとしてる。だから、不吉なことばかり起きるようになったんだ。
 さっき、祓いの途中で泣きそうにならなかった?それはね、お前が無意識でその子に同情して、悲しくなったからだ。その子が半分しか落ちてないと言っただろ?それはその子がお前から離れまいとしているだけじゃなく、お前が無意識でその子を受け入れてしまっているからなんだ。
 だから、その子を完全に落とすにはお前が供養してやらなきゃならない。お前の中の同情を清算しなくちゃならない。
 もう一回、OOに行ってこい。宿の近くに無縁仏があるんだ。場所はつきとめられないだろうから、その宿の人に事情を話して宿の近くに花を供えてこい。花だけじゃなくて、女の子が喜びそうなものを持ってけ。出来るだけ早く出かけろ。

 兄は興奮冷めやらぬままに、今からOOまで行ってくる!と言いました。母は大急ぎで部屋に飾ってあった花を綺麗な紙で包み、兄に持たせました。それから、家にあるだけのお菓子を渡しました。女の子なら、お菓子が好きだろうからと。母は泣いていました。自分の息子と同い年で無念にも亡くなってしまったその女の子が、かわいそうで仕方がないと言っていました。
 私もとっておきのじゃがりこサラダ味を兄に渡しました。あと犬のおやつの甘納豆もあげました。犬は事情も分からないくせに神妙な顔つきをしていました。

 兄は一日近く経ってから、家に帰ってきました。OOの宿まで車を走らせ、旅行の際に泊まった旅館へ行ってきたそうです。旅館の人に正直に訳を話すと、意外にも信じてくれたとのこと。そして、旅館の裏にやけに広い野っ原がある、無縁仏ならそこに埋まっているのかも知れないから、その野っ原に供え物を置いてくるといいと言ってくださったそうです。
 兄はその野原に花やお菓子を供え、手を合わせてきました。目を瞑って手を合わせていると不思議とどこか嬉しいような心持ちになり、無意識のうちに涙を流していたそうです。

 それ以来兄の周りで不吉なことは起こらなくなり、兄は内定を貰った会社から半期だけ待つから単位をとって卒業してこいという確約を頂き、今では元気な社会人です。蕁麻疹もすっかり治まり、彼女欲しいとうわごとを言いながら元気に会社に通っています。


 これのどこがThe Crooked Manに繋がるのか?と大多数の方は思われるでしょう。
 実は最初は、まんまこの体験をゲームにしようとしていたのです。ですが、実際に亡くなられた女の子のことを思い、それをゲームにしてしまうのはいかがなものかと踏みとどまりました。
 だからこの体験で一番興味深く感じたこと――無意識の共感に惹きつけられるという点にフォーカスして、全く異なるストーリーのゲームを作ることにしたのです。元々、「誰かに呼ばれて会いに行く」という題材を使ってみたかったので、それと合わせて曲男が出来上がった感じでしょうか。
 正直言って私は、おばけとかをそのままゲームに「存在」として出してしまうことに否定的な意見を持っていました。単純に、丸見えだったら怖くないじゃん!という意味ですが。だからINSANITYでは人間の狂気について、Paranoiacでは自身が正常か否かという不安についてを表現してきたつもりでした。
 でも兄の体験を聞いて、見えようが見えまいが在るものは在る、自分にどのような干渉をしてくるか、そして自分がどう答えていくかが要なのではないかと考えるようになりました。だから曲男はばんばん出てきてばんばん襲ってきますし、デヴィッドも頑張って抗います。怖くはなくなってしまいましたが、これはこれでありかなといった感じです。

 以上、曲男製作の動機でした。お付き合いくださり、ありがとうございました。